朝焼け

この時期になると、
独りで夜を
過ごしたくなる。
細い細い月を見上げて、
切れそうな程に冷たい
夜風を受けて。

其れでも独りには
してくれないらしい、
私の携帯端末には
GPSでも付いているのか、
其れとも行動経路が
単純故に予測でも
されているのか、
何故だか見付かる、謎。

理由は既に明確で、
だから敢えて訊かれる事は
殆ど無いのだが。
落ち着くような、
胸がざわつくような、
不可思議な感覚。

今年も訪れるだろう。
あの場所に、あの夜に、
まるで過去に戻るかの様に。
只もう一つ、
行きたい場所も在って。
宝箱の中身、
唯一纏える所は
既に失われているものの、
解けてしまった足枷の欠片が、
付いていた箇所が疼くから。
其れでも結局あの景色を
冷たい潮風に身を切られ乍
眺めるに落ち着くのだろう。

その時は、
どうか来てくれるな。
静かに通り過ぎて頂戴。
隣に佇んでも許せるのは
今、この世で二人だけだから。

朝焼けの光を浴びるの。
あの人の分迄、
『明日』をこの身に。

『今日』も。


ああ、今朝は良い天気だ。
哀しい程に。