バナナミルク

アルコールで火照った身体、
冷まして貰ってから静かに部屋から立ち去って。
迎え酒を煽っていたら訪れた相手、其の弱音を聞いて。

疲れているなら癒して上げよう、私に出来るならば。
貴方が愚痴を吐露出来る場所を提供しよう。

専門学校に課題を提出、新たなる課題を受け取って。
こうなるとまるで放○大学のような感じ、
提出した課題の成績で出席日数を補う事が出来れば別に良い。

鏡を見る、未だ僅かに残る痕は明日には消えているだろう。
漸くネクタイとおさらば、きっちりとした着こなしは
案外疲れる物。

今宵の店はオーナーもいらっしゃって明るくて。
漸く叶った『バナナミルク勝負』は私の勝利、
ツキが戻ってきたか、と、先日のスピリタス勝負を顧みる。
ゲストの一人とも今宵と同じ勝負を持ちかけられる、
その折も勝てれば良いのだけれど。
…勝っても負けてもおいしい、オーナーの言葉に心の中で頷いた。

押しかけ女房、なんて言葉を久し振りに聞いた。
ウイスキー味のキスに絆されて戯れが過ぎた…なんて言い訳、
フロアだったのが残念。
ビジネスホテルに泊まる貴方の夢の中で、
逢瀬が叶ったら今度は承諾無く。
―――――今宵も承諾無く『餌』を奪ったけれど。


もし今宵、店が忙しくなかったら。
…そういう口約束を交わす度に忙しくなる。
其の約束を思い出して家路へと向かう最中、
あの人の顔がちらついた。
近々ボトルを入れに伺おうか、
口約束を反故にした代償を私は幾ら、払うつもりだろう。