Cigarette

ほぼ月一で渦巻く彼の中の『闇』が、
珍しく潜伏期間を延ばしているなと思っていた矢先に来たらしい。
溜め込んでいた半月分肥大した形で破裂した其れは流石に威力が違う。

何処かのバトンだか診断だかの選択肢に
『一生人を愛せないのと一生誰からも愛されないのとどちらを選ぶか』
と言うものがあったが、
それに近い相談をされてもなんと答えて良いのか解らず終いであり、
『結局答が出ない宙ぶらりん状態だから今こうなって居るのですよ』と
深々とした溜息と共に吐き出される毒。
普段より煙草の本数が多く、穂先に火をつけてフィルターギリギリ迄吸い、
消してはまた付けての繰り返しのずっと咥えっぱなし。
まだ若いくせに確実に私より肺が真っ黒だと思う。

いい加減にお止めよと煙草を奪い取れば不貞腐れられ、
結局宥める方法は一つしかないとばかりに相手の家で恒例のシャンプー。

私は出張ヘッドスパの仕事をしている訳ではないのだけれど（黙）

シャンプーからトリートメント、ドライヤーで乾かしてやって。
明け方から何をやっているのだか、私も相手も昼間やるべき事がある癖に。
私と違って直毛の髪が指間を滑る、さらさらと。
『序でに三つ編みでもしてやろうか』と戯れを告げたら
『そのまま大学に行って貴方の名前でも広めましょうか』と
腹立たしい事にあっさり立ち直った相手からさっくり打ち返された。

仕事帰りの一服の筈だったのに帰宅する気力・体力が無くなったので
最終的に相手の狭苦しいシングルベッドで就寝。
彼が弁護士になったら確実に対する人間はやり込められるな、と、
今度は私が毒を吐かずに居られない（待）

…今思い出した。
この家にはリビングにソファーベッドがあったじゃないか（がくり）