Orange Blossom

海からの帰り道、スーツは着ているものの仕事に行く気にもなれず自主欠勤。
そのまま自宅には帰らず協会のカフェバーに赴けば見知った後姿を見つけて。
珍しく早い時間に居るものだなと声をかけ同席させて頂く、
こんな風に約束無しで偶然知り合いと会えるのも愉しいものだ。
相手も嬉しがったりしてくれて、そう言った所が矢張り可愛いと思ったりして。

空腹が満たされたかうとうとしている相手をタクシーに乗せて自宅まで送り、
自分も家路へと付く、今日も穏かな一日。

Eternal birthday

前日あの人の自宅へとお邪魔して、シチューを渡し。
訪れた理由の通り、実行して。
どうして『今』だったのかは解らない、否、何と無く解っている。
只穏かに過ごしたかったのだろう、
想い出に浸るだけではなく、今を感じたかったのかもしれない。

朝、あの人を見送ってから自分も帰宅し、日中の仕事をこなした後
夕暮れに霞草の花束とセブンスターを買って、あの海へと赴いた。
相変わらずひっそりとしていて、辿り着いた頃は日もすっかり落ちていて、
闇の中に波が岩に当たる音が響き、空には猫の目の様な三日月が浮かんでいた。
煙草を一本だけ失敬して一口だけ、火をつけてあげる代わりに貰って。
後は煙草と白筒と、序でにライターも纏めて花束と共に
断崖から海へと投げてあの人の元へと送った。

―――――二十八年で止まってしまっている時間だけれど。
三十路、おめでとう…匠。

COLOR

実家から『たまには自宅で料理して食べなさい』と、
ご丁寧にも野菜が何種類か詰め込まれた箱が郵送されてきた。
人が包丁を使えない事を何より理解している母よ、
この仕打ちは拷問か？其れとも誰かに作ってもらえ、と？
ともあれ箱一杯に収まっているこの食材を無碍に腐らせるのは勿体無いと
彼方此方に配っては見たものの、それでも全部が捌けるかと言ったら無理な話で。
結局昼食の買出しの序でに鶏肉を購入して来、
其れと合わせてクリームシチューなんぞを作ってみた。
スライサーで凌げる処は凌ぎまくり、已む無く包丁を手にとって見るも
玉葱の細切りなんて芸当は到底出来る筈も無く、
人参の輪切りで精一杯の有様である、しかも切り口が歪んでいる（最悪）
……だから私に包丁を持たせてはいけないとあれ程言って居るのに。

ともあれ暫く煮込んでしまえば角も崩れてそこそこ見られる形になり、
市販の固形ルーを使用しているので味もそんなに悪くない。

と言う事で、今宵唐突に会う事になった相手への手土産として、
タッパーに詰めて持参。
そう言えばあの人の好物は確かシチューだった気がする、
舌が肥えていそうなのでお気に召さなかったらどうしよう（笑）

きのうは典型給食しないです(BlogPet)

きのうは典型給食しないです。


*このエントリは、ブログペットの「玖月」が書きました。

Child

母の日に贈る一輪のカーネーション、枝に紅いリボンを付けて。
久方振りに実家へと赴きリビングのテーブルに置き去りにしてきた、
其れにしても相も変わらず日中は誰も居ない家である。

夜、一通のメールが届いた。
『心の母へ』と、可愛い人から。
母って…（耐笑）
何故私が母としてイメージされるのか理解し難いが、
言葉自体は有り難く受け取りました、有難う御座います。

flash voice

『微熱湯に浸ってるだけに見える』
そんな事は無いのに、
ただ穏やかな時間を生きたいだけ。
其れを微熱湯と称されても他人がそう見ているだけで、
私からしたら浸れば浸る程に渇望が沸いて。

この感情は自然に生まれたもので、
性急を要してなくて。

元々冷めてる私に触れた処で熱くなる筈も無く、
苦笑が頭上から落ちてくる、『クソガキ』と。


─────私は未だガキだよ。

Rusty Nail

日付が変わって少し位まで店のバックヤードにいて。
休憩室からメールのやり取りをしつつ、
最終的に仕事明けの一杯を引っ掛けがてらにメールの相手が居ると言う
カフェバーへと足を運んで捕獲（ふ）
こんな風にメールのやり取りの延長で逢瀬に繋がるのも悪くは無い。

今宵のナイトキャップはラスティ・ネイル。
スコッチ と、スコッチをベースにしたリキュール『ドランブイ』とを
組み合わせたカクテル。
直訳すると「錆びた釘」という意味だが、
俗語で「古めかしい飲み物」という意味もある。
やたらと甘かったりするがたまに飲みたくなる一杯だったりする。
其れを片手に何時ものようにミモザを手にして居る相手と他愛の無い会話、
既にアルコールが入っている相手の頬が朱に染まっていて、触れたら温かかった。
何度も言って居るのだけれど矢張り照れた顔は可愛らしい方だ。

今宵も可愛らしい寝顔を送り途中のタクシーの中で堪能。