Nonsense

―――――Nonsense

何故忘れろと言うの、忘れたくても忘れられぬこの想いを抱き続けて何が悪いの。
恋の花が育ち過ぎて私に根を張り大樹となって、
花が散っても枝葉が私を侵して囚えてる。
あの人の面影を知っている人に切り落とせるとでも？

忘れろ、なんて言わないで。
自分の力で薄らいで行かせて。
少しずつ、少しずつ、想い出にして、
私の中であの人を生かし乍あの人でない人を愛したい。

あの人と咲かせた恋の花と同じ位美しい花を咲かせたい。


泣き叫んで見苦しい姿を晒して、そんな姿を見て満足か？
プライドを粉微塵にされたとて最後迄頑なな物は残っているんだよ。
腕を掴まないで、顔を覗き込まないで、箍を外そうとしないで。
そんな権利貴方になんて上げない、どうして貴方なの、壊さないでよ。
あの人が一番信頼していた貴方を嫌いになりたくない。

何故、私を愛した？
あの人に頼まれたから？
私はあの人の付属品で在って付属品では無い、
あの人の物で在って『私』という一つの感情を持った独立した存在。
私の思考は私だけの物、
私の向こう側の残像にいつも脅えている貴方の物になど、成れる訳も無い。

成る気にも、無い。


『彼』を愛しているんです。
きっと穏かに語り乍泣ける、と、思える位、愛しているんです。

もう、これ以上言わせないで……