Pink rose

纏わり付く薔薇。
一種の催淫、と
馬鹿な事をほざく。
くらり、くらり、
くすんだピンク。
ふわり、ふわり、
甘やかな馨り。
日頃然したる免疫が無いと
多少は酔ってしまう。

でも、
私は蝶や蜂じゃないから
釣られたりしないんだよ。

触れずに
犯されてるみたいだ。

片手に手錠、
もう片方はベッドに付けて。
それでも信用せずに
厳重に鍵をかけて
シャワーを借りて。
扉越しに
鬼だ悪魔だとほざかれても
全面的に無視。
其の言葉をそっくり其の侭
返してやって。

乾かすのが面倒で
捻り上げて簪で留め、
手錠の鍵をベッドに投げて、
逃げるように帰宅。
流れていたタクシーを拾い、
自宅へと向かう最中に
ちらりと見覚えのある姿を
見つけた。

自宅について、
メールして、
ベッドに潜り込んだ所で
細君の帰宅、
待ち構えてたかのように
抱き締めて、キスして、
愛を強請って確かめて。

この温もりが一番落ち着く。