Bright red

近場で揉め事があった。
此処では日常茶飯事だ。
止めもせず見守るでも無く
只、通り過ぎた。


通り過ぎた癖に後になって自宅を訪ね『大丈夫？』と
扉をノックしたらスプラッタな顔があって。
お約束的に『日常茶飯事』と笑われた。
其れが日常とはどんな生活を日々送って居るのかと
小一時間問い質したくもなるが止めておいた。

余り無茶をおしで無いよ。
大事な右手なんだから。

起きてない事を起きているとし虚偽を張るのは嫌いである。
あやふやな情報の交錯に、最近特に敏感になっている。
最近感情を殺したり偽ったりで過ごしている時間が多いだけに
下らぬ事で苛立つ、荒んでいると言った方が正しい。

役者の君と、ホストの私と、
演技力はどちらが長けている？
―――人間相手、で。

『癒して』だなんてよく言えたものだ、この唇は。
でも声が聴きたかったりする。



突きつけられたナイフ冷たさを感じ乍笑む、まだ余裕。
軋みを上げる度にゾクゾクする高揚感、湧き上がる。

散らしてあげるよ、お望みの方法で。


『紅は、お好きかい？』