Sheltering

原稿持って朝から出版社。
でも電車の中で傘を盗まれ
たまたま休講だと言ってたカズのマンションに
寄らせて貰い暫し雨宿り。
駅から鞄抱えて全力疾走、でも雨足が酷く結局濡鼠。
『迎えに行ったのに』と、笑われ乍乾いた腕の中に。

シャワーを借りて温まる、
服を乾かしている間自分はバスタオルでグルグル。
濡れると髪がうねり捲る、だから癖毛は嫌いなんだ。
『悩殺ショットで役得』と莫迦な事をほざき乍も
キャンバスに釘付けの彼が描き途中の油絵に走る筆を
やる事が無い私は見詰て。
画力が有る人は羨ましい。

タオルが邪魔と言われても取れる訳無いでしょ、
『妻にだけ』と言ったら、鼻で笑われた（不機嫌）
カズが妙にご機嫌なのは、誕生日が近いからか。
去年はおちょくられたけど今年は私が翻弄しよう。

夕刻には乾燥機に入れた、服はすっかり乾いてて。
空に薄ら、青。

其れにしても
二日続きで濡鼠なんて
運が悪いとしか言えない。

後二日でまた対等になる。
たった半月の、『対等』。
毎年この日が来る度に、
『漸く貴方に追い着けました』
そう、心底嬉しそうに笑う。

去年と同じ物は
もうあげられないけれど、
24時間がまた26時間に
なるかもしれないね。

今年は如何過ごそうか、と、
数日前から悩んでいるけれど。
晴れたら何処か、
景色の良い所に行こうか。

羽ばたける様に。