Tears

普通に同伴して
来店、の運びを
急遽変更、店に直行。
フロアで濡れた躯を
拭いてから案内する個室。
相手に何かあった様で、
フロアではどうも
落ち着かないだろうしと。

どうも、
泣き顔を見てしまうと
駄目で。
こう･･･衝動が湧く。
優しくしたいし、
甘やかしたいし、
抱き締めたいし･･･と、
構いたい本能が疼くが、
其れをやるから
また誤解を生むと承知で。

だって放っておけない、
同じ経験が、有るし。


目覚める頃には、
あの涙が
乾いていると良い。

眠ったゲストを送って、
其の侭帰宅、また明け方。
シャワーを浴びて、
ベッドに潜り込んで
眠る温かな躯を抱き締めて。

『タダイマ、愛しい人』

この温もりを
『人並み』の幸福とは
とても言い難い、
私にとっては
奇跡、みたいなモノで。

一度掴んで、
でも掌から滑り落ち、
其れから求め続けていた物。
再び手に入れる事を
怖がり乍、でも探していた。

『愛してくれる』じゃなくて
『愛せる』存在。
心の中で燻っていた焔を
揺らしてくれた、
吹き消す事無く。
個人的に辛い時期も無いとは
実は言いきれないのだが、
『好き』から『愛しい』に
変えてくれた。
自分もそう、変えられた。

愛しくて
守りたくて
守って貰いたくて
『愛して貰いたい』と
そう願える、人。

今、唯一の、人。