ｼｬﾝｸﾞﾘﾗ

携帯が、鳴る。
店からの呼び出し。
ｽｰﾂに袖を通し、夜の街へと。
―――――そうでなくとも、闇が訪れれば身体に馴染む、服。

週末になると訪れてくれるｹﾞｽﾄ。
ﾋﾞﾘﾔｰﾄﾞ、ｶｸﾃﾙ、旅行、
少しだけ齧った事の有る話題。
どちらかが詳しくて、
だから聞き手になったり、話し手になったり、
一方的で無いからとても楽。
同じ仕事だからだろうか、
ただ時折ﾘｰﾄﾞされる側となってしまって、
申し訳無く思ったり（苦笑）

至上の楽園はどんな所だろう。
夜明けの光を肌に浴びる瞬間、
私も貴方の肌を愛でるだろう。
お互いどんな変化が起こるのだろうね。

そんな事を考えながら、
約束通り貴方のｲﾒｰｼﾞ似合う香水を探しに
久方振りに昼間の街に繰り出そうか。

まどろんでいた、と。
お前が寝惚けた声で、珍しく。
他人を抱いた後に何事も無かったかのように連絡をしてくる、
そして腕に私を抱いて、疲れて眠り、ふと目を醒まして呟く。

私に言わせればお前の方が猫らしい。
具体的に言えば、猫科の動物。
気紛れで、飄々としているかと思えば
唐突に気性が荒々しくなって。
かと思えば時折、喉を鳴らして甘えてきて。
私が飼っているのか、
お前が飼っているのか、此れでは判らないよ？

静かに甘えるとお前は哂わないから、と。
其の一言は、そっくりお前に返そうか。
お前のそんな一面を知っていると悟られたら、
私は数人から、背後から刺されるやも知れぬ。