LOVE

『愛してる』の言葉は
時として酷く痛く感じ
されど其の想いは
返せねど
受け取らざるを得なくて

あの『愛してる』は痛い
でもお前の其れは
酷く心地が良い微熱湯で

未だ、浸かったまま。

Irritation

寂れた廃墟の一室で、
ゴツゴツした剥き出しの
コンクリートに腰を下ろし
静かに待っていた
少し遅れて来た相手は
フードを目深に被っていて
其れを取り去って
漸く見えた表情に
笑みを、湛えていて

だけど、直ぐに崩れた
崩したのは私
告げる言葉は一つしか
用意してなかったのだから

Nightmare

黒いTシャツ
細身のデニム
逆光で顔が見え辛くて

ピンクの虫籠
深緑の網
異様な装備で

『兎を掴まえに行こう』
やたらと笑顔が嬉しそう

『ん』とだけ答えて
彼の横を擦り抜けた
至って普通に
何事も無かったかのように

―――『普段通り』に

Sob

日付が変わって、
『ああ、七夕だ』と。
空を仰ぎ、
覆われていた雲間に
星を探してから
寝室へ赴こうとした瞬間。

電話が鳴って。

出て、一瞬動揺。
矢張り一筋縄では行かなかったかと、溜息。

Gray zone

会いたいと思う
でも会うのが怖い
中途半端な関係を
此の侭続けて行くと思うと

怖い

・・・と、言う気持ちは
私にだって解る。

相手に因って振り回されて良いと思う人と
冗談じゃないって思う人と
決めかねて曖昧な侭になってる人と三通り。

因みに私の平穏を乱す人は
容赦無く斬り捨てるけれど

『今』、君に出来るかい？


深呼吸して、お決めよ。

Pink

朝、目が覚めて。
握り締めていた携帯の、
画面をぼんやり、見て。



───赤面、憤死。



寝呆けている時って恐ろしい。
朝も危険だが寝際はもっと危険らしい（何）

Egoist

喘ぐ、酸素を求める様に。

仮宿に戻った瞬間力が抜けて、
差し伸ばされた腕に包まれて、其の侭夢へと堕ちていく。
朧気に混濁した意識の中感じる浮遊感、ゆらゆらと。


―――誰の腕だっただろう